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SCENE#23   転んで笑って福が来る!畑いものすけ、今日もやらかします!

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第一章:いものすけ、今日もやらかす!

 

のどかな田園風景が広がる、のんびりぼけ村。そこに、背丈はそこそこ、顔にはいつも間の抜けた笑みを浮かべた農民がいました。その名も畑いものすけ。

 

 

代々続く農家の長男ですが、彼の手にかかればどんな単純作業も、なぜか奇妙な方向へ転がってしまうのです。彼の親父、畑一本気(いっぽんぎ)は、真面目で農作業一筋の男。だからこそ、いものすけのドジにはいつも手を焼いていました。

 

 

ある日のこと、親父の一本気から「今日はな、肥料を畑に均等に撒くんだぞ!」と厳命されたいものすけは、意気揚々と肥料の詰まった桶を担ぎ、畑へ向かいました。ところが、歩くたびに桶から肥料がパラパラとこぼれ落ち、彼の後ろにはくっきりと肥料の道ができていくのです。

 

 

「おや? なんだか肥料が軽いような…もしかして、肥料がダイエットしちゃったのかな? こりゃあ、畑もスリムになるぞぉ!」

 

 

畑に着く頃には、桶の中はほとんど空っぽ。慌てて振り返ると、村のあちこちに不自然な肥料の筋が。それを見た村人たちは「いものすけがまた何かやったぞ!」と呆れ顔です。

 

 

しかし、いものすけ本人は「あれ~? 肥料の妖精さんが手伝ってくれたのかな? おかげで道も緑になるし、村がエコになったね!」と呑気なもの。結局、親父の一本気にげんこつを食らわせられ、その日は村中から笑い声が響き渡りました。

 

 

 

 

第二章:祭りといものすけの大失態!

 

年に一度の村祭り。いものすけも、もちろん楽しみにしています。中でも彼が一番楽しみにしていたのは、のんびりぼけ村の衆が腕を競い合う「大食い競争」でした。親父の一本気も、息子がいかに大食いか自慢げに眺めています。

 

 

いものすけは、持ち前の食いしん坊根性を活かして、毎年この競争では良い成績を収めていました。しかし、今年は一味違います。競争の前に、友人から「いものすけ、今日は気合を入れて、特別な味噌汁を用意したぜ!」と差し出された熱々の味噌汁を、勢いよくすすってしまったのです。

 

 

「うむ! いつもよりコクがある! …って、あれ? 口の中が火事だ! 誰か、口に井戸水を入れてくれ~い! 口から煙が出てきたぞ! 俺、もしかして竜になったのか!? 親父、俺、竜になったぞぉー!」と満足げにうなずいた次の瞬間、いものすけの顔は真っ赤になり、額には汗が滲み出ました。なんとその味噌汁、友人の悪戯で大量の唐辛子が投入されていたのです!

 

 

競争が始まると、他の参加者が次々とご飯を平らげていく中、いものすけは口の中のヒリヒリに悶絶。

 

 

「水! 水をくれ~! いっそのこと、このまま湯気になって消えてしまいたい! あ、でも湯気になったら味噌汁の匂いが村中に広がるか…それはそれで迷惑かな! 親父、俺、もう限界だぁー!」

 

 

と叫びながら、皿の上のご飯を眺めるばかり。結局、彼は一口も食べることができず、大食い競争はあえなく棄権。親父の一本気は頭を抱え、村人たちは、顔を真っ赤にして涙目になっているいものすけを見て、腹を抱えて笑いました。

 

 

 

第三章:恋するいものすけ、空回り!

 

そんなドジないものすけにも、密かに想いを寄せる相手がいました。のんびりぼけ村一番の器量よしと評判のお花です。親父の一本気は、いものすけがまともな男になってくれるのか、ひそかに心配していました。ある日、いものすけはお花に自分の気持ちを伝えようと、一大決心しました。

 

 

彼は、畑で丹精込めて育てた立派な大根を抱え、お花の家へと向かいました。途中で、どうすれば気持ちが伝わるかと考え込み、練習したセリフをぶつぶつと呟きます。

 

 

「お花殿…この大根のように、私の心はまっすぐでございます! …いや、むしろこの大根よりまっすぐ!…いや、大根の方がまっすぐかも…あ、あれ? 大根が曲がってきたぞ!? こ、これは恋の邪魔をする曲がり大根の祟りか!? 親父、俺の恋路は絶たれたぁー!」

 

 

そうして意気揚々とお花の家の前まで来たはいいが、緊張のあまり足がもつれ、抱えていた大根を勢いよく宙に放り投げてしまいました。大根は、勢いよくお花の家の障子を突き破り、そのまま奥の部屋へと消えていくのです。

 

 

「ひぃやあぁぁぁ!」というお花の悲鳴が響き渡り、中から怒ったお花のお父さんが出てきました。「いものすけ! 何をしてくれるんだ!」と雷が落ち、いものすけは縮こまって謝るばかり。

 

 

「す、すみません! 大根が飛ぶ練習をしておりまして!…って、違います、違いますぅ! 狙った獲物は逃さない、弓の名手ならぬ大根の名手を目指していたのですが、標的を間違えました! 親父に怒られるぅー!」

 

 

結局、肝心の告白どころか、大根と障子弁償の羽目になり、恋の行方は一層遠ざかってしまいました。

 

 

 

第四章:いものすけ、思わぬ手柄?

 

いつもドジばかりのいものすけでしたが、時にはそれが思わぬ結果を生むこともありました。親父の一本気は、いものすけが何かするたびに、心の中でため息をついていました。

 

 

ある冬の寒い日、のんびりぼけ村に一人の怪しい旅人が現れました。その旅人は、村の宝物である「福の神の掛け軸」を狙う盗賊だったのです。しかし、村人たちはその正体に気づきません。

 

 

いものすけは、親父の一本気に言いつけられた薪割りをしていたのですが、彼のいつものドジが炸裂します。薪を勢いよく振り下ろした拍子に、斧が手からすっぽ抜け、見事な放物線を描いて飛んでいきました。

 

 

斧が着地したのは、なんと旅人の頭の上! ではなく、旅人の着物の裾でした。斧は旅人の着物をビリビリに引き裂き、その下から隠し持っていた掛け軸がポロリと転がり落ちたのです。

 

 

「こ、これは…!」村人たちが驚きの声を上げる中、盗賊は観念して捕らえられました。いものすけは、何が起こったのかわからず、

 

 

「あれ? 薪割りのつもりが、旅人の着物を修理しちゃったのかな? ずいぶん派手な直し方になっちゃったけど、もしかして、これが江戸の最先端ファッション!? 親父、俺、ファッションリーダーになったぞぉ!」と首をかしげるばかり。

 

 

しかし、村人たちは「いものすけ、よくやった!」と彼を褒め称え、親父の一本気は呆れながらも、内心では鼻高々。その日ばかりはのんびりぼけ村の英雄となったのでした。

 

 

 

 

第五章:いものすけと村の明日!

 

盗賊を捕らえるという、まさかの手柄を立てたいものすけ。しかし、彼の日常は相変わらずでした。翌日には、田んぼのあぜ道で足を滑らせて泥まみれになり、

 

 

「うわあ! 俺、泥パックしてるみたいだぁ! 美容にいいって聞いたけど、これじゃあ誰だか分かんないや! のんびりぼけ村の新名物になっちゃうかも! 親父、俺、美肌になったぞぉ!」

 

 

と叫びながら、干していた洗濯物を風で飛ばしてしまいます。それでも、のんびりぼけ村の村人たちはもう呆れるどころか、いものすけのドジっぷりを面白がっていました。

 

 

「まあ、いものすけがいなきゃ、のんびりぼけ村もなんだか寂しいもんな…」と親父の一本気は、相変わらずげんこつを食らわせるのですが、その目にはどこか温かいものがありました。お花は、いものすけがまた何かやらかすたびに、少しだけ呆れながらも、クスッと笑うようになったのです。

 

 

いものすけは、今日も元気に畑を耕しています。たまに種を蒔き間違えたり、

 

 

「あれ? この種、昨日蒔いたはずなのに芽が出ないな…あ、これ石ころだったぁ! きっと芽が出ないように、石ころの神様が意地悪したんだな! のんびりぼけ村の石ころは、きっと頑固なんだ! 親父、石ころが喋ってるぞぉ!」

 

 

などと独り言を言ってみたり、収穫の時期を勘違いしたりするけれど、それでも彼なりに一生懸命です。彼の周りには、いつも笑い声が絶えません。

 

 

ドジでマヌケ、でもどこか憎めない。それが畑いものすけ。そして、そんな息子を呆れつつも温かく見守る親父の畑一本気。彼らがいる限り、こののんびりぼけ村の毎日は、きっと退屈することはないでしょう!

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