NHK大河ドラマ『べらぼう』の脚本を手がける森下佳子は、わずか“一行の史実”から、斬新かつ濃密な人間ドラマを創出。主人公・蔦屋重三郎の人生を、既成概念にとらわれない「穿ち（うがち）の精神」で描き、江戸の出版文化や人間関係に深い奥行きを与えている。フィクションと史実の境界を柔軟に行き来しながら、森下脚本ならではの魅力が随所に光る。
『べらぼう』“一行の史実”を類稀なドラマにする森下佳子の脚本 “穿ちの精神”が蔦重の要に
天明3年（1783年）9月、34歳になった蔦屋重三郎は、日本橋通油町（現在の日本橋大伝馬町あたり）に進出、名実ともに江戸の一流書肆の仲間入りを果たす。その略歴を辿ってゆけば、たった一行で片づけられるような出来事に、これほどまでの「意味性」と...
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